TED「ストレスと友達になる方法」から考える、健康情報の捉え方とは

アメリカの健康心理学者「ケリー・マクゴニガル」の講演を見たことがありますでしょうか。

(日本語字幕付きの動画はこちら↓)

 

ストレスが健康に与える影響について研究してきた彼女はある時、驚くべき研究結果を知ります。

今回はその研究結果から考える、健康情報の捉え方について僕の考えを書きたいと思います。

 

 

「ストレスと友達になる方法」から考えた健康に対する態度の取り方

ケリー・マクゴニガルが発表した研究内容とは

ケリーがTEDで紹介した研究結果は次のようなものです。

 

アメリカの成人3万人を8年間追跡し、健康とストレスについて調べました。

その結果、前年に重度のストレスを感じた人々が翌年に亡くなる確率は43%も高いということがわかりました。

ここだけ見ると、「やはりストレスは健康を害する」という常識的に誰でも知っていそうな結論で終わります。

 

が、この研究には続きが。

なんと、死亡の確率が上がったのは「ストレスが健康に悪いと信じていた人だけ」だったのです。

驚くべきことに、重度のストレスを感じていた人でも、「ストレスは健康に悪いとは信じていない人」はすべてのグループの中で(ストレスをあまり感じていない人も含めて)一番死亡率が低いという結果が得られたのです。

 

つまり、健康を害するのはストレスそのものではなく、ストレスが体に悪いと思っているその考え方だったのです。

 

健康情報にどういう態度を示すか

これは、そっくりそのまま「健康情報への態度によって、健康度合いが変わってくる」ということに置き換えられるのではないかと思います。

 

たとえば、ファーストフードは健康を考えた時に、好ましい食べ物ではないですよね。

でも、それを食べる時に「ああ〜・・・。これいっぱい添加物入ってるんだろうなあ。。味も濃いし、この牛肉はぎゅうぎゅう詰めの牛舎でホルモン剤やら抗生物質を投与されてストレスを受けながら育った牛なんだろうなあ。そしてこのポテトフライにはトランス脂肪酸が・・・。ああ、そしてこのダイエット・コークには人工甘味料がああ・・・」と思って食べる人もいれば、「ま、たまにはいいでしょ。いつも食には気を使っているから、たまに付き合いで食べるぐらいならへっちゃらさ。オレの健康的な体をナメんなよ。気にしない気にしない」と思って食べる人もいるわけです。

もちろん、きちんとデータを取ったわけではありませんが、おそらく後者の人のほうが健康的に生きられるのではないかと思うのです。

 

今の世の中、普通にしているだけでは健康は守れない。なので、健康になるための情報を得ていくのはとても大切です。

しかし、その結果、前よりストレスを感じるようになったり、さまざまな制限で生きにくくなってしまったら元も子もないのです。

 

情報を伝える側の意識

このあたりは情報を伝える側も注意をしないといけない部分です。

たまにむやみに不安を煽るような論調の記事を目にしますが、一般の人を怖がらせるばかりでは誰も健康にすることはできません。

事実を伝える時も、偏った伝え方をしないことと、解決策を提示してあげること、安心させてあげることが重要だと思います。

 

健康の情報を伝える時に意識していること

それは、「我々は健康になるために生きているわけではない」ということです。

あくまで、幸せな人生を謳歌するための健康であって、目的と手段を取り違えてはいけません。

 

たとえば、自動車は毎日10人以上、年間数千人の人を殺しています。

その車がなぜ法律で禁止されないかというと、そこに利便性があり、車があることによって人々が豊かになるからです。

しかし、同時にちゃんと道路交通法が整備されて、私たちはシートベルトを締めることで、リスクを最小限に抑えています。

 

食もこれと同じ。

完全に健康的な食生活をしようというのは、車にひかれたくないから家の中にこもっているのと同じです。

100%健康的な食生活をしようと思ったら仕事も人付き合いもできなくなってしまいます。

 

このあたりの線引は難しいですし、どこからがやりすぎという明確な境界線はないと思いますが、あまり過敏に情報に振り回されないことと、極端な行動に走らないことが大切なのだと思います。

 

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