まだ糖質制限で消耗してるの?
こんにちは。
フリーランス管理栄養士あらため、栄養奉行、圓尾(まるお)です。
(はじめての方はこちらからどうぞ)
定食屋さんに行った時に、
「すいません、ごはん少なめで」と注文している人をよく見かけます。
高齢の方ならまだしも、若い人が「ごはん少なめで」って、そりゃあないでしょうと思ったりするのですが、
中には、最初からごはんをわざと少なく盛って提供するお店にも出くわします。
「残されるぐらいならもったいないから最初から少なくしておこう」という算段なのでしょうが、
そういうお店に限っておかわりは追加で代金がかかったりするので、何ともやるせません。
今回は、日本人の糖質摂取の変化について見ていきたいと思います。
まだ糖質制限で消耗してるの?
PFC比率の変遷
人間は「たんぱく質」「脂質」そして「炭水化物(いわゆる糖質)」の三つの栄養素からエネルギーを得ています。
そして、
全エネルギー摂取量に対して、この三つの栄養素由来のエネルギーが占める割合を示したものがPFC比率です。
ちなみに、PFCというのは、それぞれの栄養素(たんぱく質:Protien、脂質:Fat、炭水化物:Carbohydrate)の頭文字をとっています。
1946年、終戦直後の日本人のPFC比率は、
P: 12.4%、F: 7.0%、C: 80.6%
でした。
つまり、八割のカロリーを炭水化物からとっていたのです。
これが経済復興に伴い、食糧事情が豊かになり、
さらに食の欧米化で肉、乳製品、油の摂取量が急増。
その結果、1975年には、PFC比率は、順に14.6% : 22.3% : 63.1%となり、
糖質の摂取割合が減少し、脂質の摂取割合は増加します。
その後、PFC比率はほぼ変わらずに推移し続け、
2005年時点では、順に14.7%、24.9%、60.4%となっています。
一方、摂取カロリーは
PFC比率は、エネルギーの割合なので、実際の摂取エネルギー量も見てみましょう。
エネルギー摂取量は、1946年で1903kcal/日でした。
その後、1975年には2226kcalまで増えますが、
2005年には1904kcalと、なんと戦後直後の水準にまで下がっています。
次に、ここから糖質の摂取量を割り出していきましょう。
炭水化物(糖質)は1g当たり4kcalなので、
ここから計算すると、糖質摂取量はそれぞれ、
- 1946年 ⇒ 383.5g
- 1975年 ⇒ 351.2g
- 2005年 ⇒ 287.5g
となります。
つまり、戦後日本人の糖質摂取量はめきめきと下がり続けているのです。
それに合わせてお米の消費量も激減
また、お米の消費量も下がっています。
一人当たりの年間米消費量は、1962年に118.3kgだったのが、継続的に下がり続け、
2013年には約半分の56.9kgと、約半分にまで減ってしまいました。
摂取する糖質の中身が変わった
戦後、日本人の糖質摂取量は一貫して減少してきました。
一方、その糖質の中身は大きく変化しました。
お米の摂取量は減りましたが、
同じ炭水化物のパンやパスタの消費量が増えました。
他には、お菓子や菓子パンなど、ヨーグルトなどの甘い食べものに含まれる砂糖、
清涼飲料水に含まれる糖質なども増えました。
さらに、24時間空いているファーストフード店やコンビニエンスストアの出現で、
遅い時間に食事をとることもできるようになりました。
このように、摂取する糖質の中身が変わったことと、
食事や間食をとる環境が変わったことを認識する必要があります。
減らすべき糖質と、減らすべきでない糖質
よく言われている糖質制限は、お米などの糖質と砂糖などの精製された糖質を同じものとして一律に制限します。
これが大きな間違いで、減らすべきは余計な糖質であり、主食であるお米に関してはむしろもっと食べるべきです。
お米をしっかり食べることで得られる利点がたくさんあります。
むしろ、主食であるお米まで制限してしまうと、栄養バランスが崩れたり、さまざまな弊害が現れます。
食べ方を間違わなければ、ごはんをしっかり食べても肥満になることはありません。
不自然な食生活を送る前に、正しい知識、事実を身につけたいものです。
(参考: 日本ローカーボ食研究会)
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