とうとうアメリカで使用禁止に!トランス脂肪酸、日本での規制は必要?
アメリカでトランス脂肪酸の使用を禁止するとの決定がなされました。2018年6月以降に適用されるとのこと。
(参考:「米、トランス脂肪酸の食品添加禁止 18年6月から」 – 日経新聞)
アメリカでは、日本人がまだ誰も”トランス脂肪酸”という言葉を知らなかった頃から、トランス脂肪酸の摂取が心臓病の増加につながるということが言われており、2006年にはニューヨーク市内の飲食店でのトランス脂肪酸の使用が禁止されるなど、地域による取り組みはありましたが、今回の決定は国全体としてトランス脂肪酸を規制しようという大々的なものです。
(※トランス脂肪酸については過去にその危険性や日本での状況をまとめた記事がありますので、ご参考ください)
トランス脂肪酸禁止への移行コストは最大140億ドル(約1兆7000億円)と莫大ですが、それでも国民の健康を守るために政府が今回の改革を断行することは素晴らしいと思います。
今回の規制により、心臓病を年間数千件は減らせるのではないかと見込まれています。
もちろん、この裏には消費者からの声があって、政府がそれに対応した形での決定だと思うので、アメリカ国民の健康に対する意識の高さの賜物であり、勝利といっていいと思います。
また、このニュースを受けて「日本でも規制を」との声がある一方で、逆に「日本では規制する必要なし。騒ぎすぎ」といった反論記事もいくつか見かけました。
読んでみたのですが、いろいろと突っ込みどころが多く、やはり日本でもトランス脂肪酸は早急に規制すべきだという考えは変わりません。
たとえば、「トランス脂肪酸は自然界も存在し、肉や乳製品にも含まれているからトランス脂肪酸を禁止したところで摂取量はゼロにならない」という話。
自然界に存在する分は別にいいんです。何も摂取量をゼロにしようという話ではない。ただ、人工的に作られた製品を通して余計にトランス脂肪酸をとるのを防ぎましょうという話です。
「日本人は調査により、アメリカ人に比べてトランス脂肪酸の摂取量が少ないという結果が出ているから心配なし」という意見もありますが、そもそも僕はこの調査に疑問を感じています。
実際に調査をした食品安全委員会の報告書にも次のような記載見受けられます。
ただし、これらの推計では、国民健康・栄養調査の平均値を使用しているため、脂肪の多い菓子類等の食品の食べ過ぎなど偏った食事をしている場合の個人差は考慮されていません。
確実にとりすぎている人がいる上に、トランス脂肪酸の害は心臓病など、ハッキリと判明しているものはごく一部で、病気にはならなくても、心身の不調にもつながる、百害あって一利なしの成分であることは変わりありません。
WHO(世界保健機関)の基準ではトランス脂肪酸の摂取を総エネルギー量の1%未満に抑えることが勧告されています。
これをざっくり目安で計算すると、日本人が1日当たりにとって良いとされるトランス脂肪酸の量は2gぐらいです。
さて、皆さん。実際に身の回りの食べ物にどれぐらいのトランス脂肪酸が含まれているのでしょうか。
大手の食品メーカーの中には製品中に含まれるトランス脂肪酸の量を掲載している会社があります。
具体的に会社名を上げることは控えますが、「トランス脂肪酸 含有量」などで検索すると、実際に身の回りの製品(菓子パンや洋菓子など)に含まれているトランス脂肪酸を知ることができます。
数字がかなり見づらいですが、実際に自分の目で確かめてください。そうすると、普段の食生活の中で、いかに一日2gという世界の基準が案外あっさりと超えてしまうかがわかるかと思います。
莫大なコストがかかるトランス脂肪酸規制。日本は政府のトランス脂肪酸安全神話のお墨付きがもらえている限り、状況は変わらないと思いますので、当面は自ら自衛手段を身につけるしか対抗策はないかと思います。
そのうち、すぐにできる身の回りのトランス脂肪酸対策の記事を書きたいと思いますので、ご期待ください。
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