野菜嫌いだった僕が、いかにして好き嫌いを克服していったかというお話
こんにちは。管理栄養士の圓尾(まるお)です。
僕は今でこそ好き嫌いがまったくなく、何でもうまいうまいといって食べられてしまうのですが、
告白すると、子どものころはひどく好き嫌いの多い子どもでした。
今回は僕がどうやって好き嫌いを克服したいかというお話をしたいと思います。
好き嫌いが多くて悩んでいる人、子どもさんの好き嫌いに頭を抱えている人にも読んでもらえると幸いです。
野菜嫌いだった僕は、いかにして好き嫌いを克服したのか
あれも駄目、これも駄目な子ども時代
僕は、とにかく食べられないものがたくさんありました。
たとえば、豆腐が駄目です。
麻婆豆腐ならギリギリいけますが、あの豆の青臭さが全面に出る冷奴は一口も食べられませんでした。
他にも駄目なものをあげると、
チーズ、レバー(加熱したものも)、グリンピース、セロリ、ゴーヤ、緑茶などなど、枚挙に暇がありません。
野菜は比較的食べられたのですが、それもドレッシングが美味しいとか、何か味がついていないと受け付けません。
ひどいのが家族で鍋をした時で、野菜やしいたけには一切手をつけませんでした。
僕が箸をつけるのは肉のみです。
母親は毎日手料理を作ってくれていたのですが、僕の好き嫌いは一向に治らず、そのまま大学生になってしまいました。
好き嫌いを抱えたまま、栄養学部へ
何を間違ったのか、そんな僕は栄養学部へ進学しました。
もともと食べることにもそれほど興味がなく、料理もまったくしなかったのですが、
わりと自然の多い場所で育ったことが影響し、自然科学や生物に興味がありました。
それで偶然見つけてピンと来たのが栄養学部だったのです。
これが転機でした。
大学で毎日栄養学を学ぶ
学校で学ぶ授業は新鮮で、興味深いものが多くありました。
食べものの中にはどんな栄養素が含まれているのか
その一つひとつがどんな働きを持っているのか
人間の身体はどのように機能して、そこに栄養素がどう関わるのか
「普段毎日何気なくパクパク食べている食事の裏には、こんな世界が隠されていたのか!」
人間の身体、自然界がいかによくできているかに感動したのを覚えています。
そして、生活習慣病についても学びました。
自然の摂理を外れ、栄養素のバランスを欠いた時、僕たちの身体にどんなことが起こるのか。
その恐ろしさを知り、今から健康に気をつけないと強く思ったものです。
そんな毎日を送るうちに、僕の中に変化が起き始めます。
いろんなものを好き嫌いなく食べることには意味がある
「バランスよく食べることが大事だよ」
「野菜もしっかり食べないと身体を壊すよ」
そういうことは耳にタコができるぐらい聞かされ続けていました。
でも、大学で栄養学を学ぶうちに、それが栄養学に根ざした事実として理解できるようになったのです。
「人間が健康に生きていくためには、いろんな栄養素が必要で、それら一つ一つが身体の中でそれぞれの働きを持っているんだ。
そして、それらを不足なくとりいれるためには、いろんなものを食べる必要があるのか」
それでやっと、これまでのように好き嫌いをして偏食をしていては健康に暮らせないことに気付かされました。
少しでもいいから食べてみよう
それから僕の行動が変わりました。
嫌いなものが出てきても、食べる努力をするようになったのです。
しかし、いくら頭で栄養の大切さがわかっていても、不味いもの不味いまま。
それでも、恐る恐る口に入れて、時には鼻をつまんだりお茶で流しこんだりしながら食べるようにしました。
でも不思議なもので、それにだんだんと慣れてくると、嫌だった味や香りに抵抗がなくなってきます。
そうすると、今度はその味や香りを「嫌だ」と判断するのではなく、ただそういう味として感じるようになっていったのです。
そして少しずつ、本当に少しずつ嫌いだったものが食べられるようになり、
どんどん好き嫌いがなくなっていき、しまいには嫌いだったものが好きになっていました。
今では豆腐なんて冷奴も湯豆腐も大好物ですし、煮豆も大好き。
鍋でもむしろ、出汁の繊細なうま味が染みこんだ野菜の素材の味わいがたまらなく好きです。
セロリやパクチー、山椒や柚子など、香りのあるものがあると嬉しくなります。
そんな感じで僕の好き嫌いは完全になくなりました。
食育は食べものの好き嫌いすら変える
結局まとめると、僕は大学で四年間、毎日毎日先生から食育を受けていたということです。
いろんなものを好き嫌いなく食べることの大事さを理解し、
今まで避けてきた食べものに興味を持つようになり、
その味に慣れて、その味を受け止められるようになって、
最後には自ら好んで食べるようになっていた。
つまり、知識を得ることで、食べものに興味を持てるようになれたのです。
これが好き嫌いを克服する上でとても大きく作用したように思います。
まとめ
僕が食育の活動に力を入れているのも、この原体験が大きいです。
もし、もともと何でも食べられるような子どもだったら、好き嫌いがある人の気持ちがわからないかもしれませんが、
僕にはそれが痛いほどわかります。
いいんです、子どもの頃は好き嫌いがあったって。
そこで無理やり食べさせると余計嫌になるかもしれません。
心配しなくても大丈夫。
いずれ食べられるようになります。
大切なことは好き嫌いをなくすことにこだわるのではなくて、
子どもが食べものに興味を持てるような食育を施すことではないでしょうか。
そのためには栄養のことだけでなく、食べものがどうやって、どんな姿で、どんな人によって作られているかを、子供に見せたり聞かせたりすることです。
いきなり目の前にポンと置かれた食べものよりも、どんなふうに生まれて育てられたのかがわかったほうが興味を持つ確率が上がります。
そしてこれは子供に限ったことではなく、大人の食行動を変える上でも大きな役割を果たすように思います。
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