これを読めば味噌を食べずにはいられない!味噌の栄養・健康効果のすべて
味噌シリーズ第三回目の今回は、管理栄養士らしく、味噌の栄養について解説していきたいと思います。
【 過去の味噌シリーズ 】
※ 1300年以上、日本人に愛された味噌の起源 最初に作られたのは●味噌だった!
※ 豆味噌?白味噌?辛口? 複雑な味噌の分類を3分でまるっと理解しよう
味噌の栄養成分・健康効果のすべて
「味噌は医者要らず」と言われるほど、味噌には健康増進に貢献する栄養素が満載です。
乳酸菌、麹菌が腸を健康にする
味噌は製造の過程で発酵しており、乳酸菌や麹菌が含まれています。
乳酸菌は腸内を酸性にすることで悪玉菌の発生を減らし、腸内を良好な状態に保ちます。
麹菌は食べ物の消化を助けることで、胃腸の仕事の一部を肩代わりし、消化管の働きをサポートしてくれます。
たんぱく質
味噌の原料である大豆は「畑の肉」に例えられるように、たんぱく質が豊富。
しかも、発酵熟成の過程で、麹菌の働きにより、たんぱく質がアミノ酸という小さな単位に分解されているため、消化・吸収されやすい状態になっています。
必須アミノ酸と呼ばれる、体内で合成できない重要なアミノ酸は全部で9種類ありますが、これらはどれか一つでも欠けてしまうとうまく機能してくれません。
肉や魚、卵、牛乳のたんぱく質はこの必須アミノ酸をすべてバランスよく含んでいるのですが、大豆は必須アミノ酸の中でメチオニンやシスチンなどが少ないという欠点があります。
しかし、なんとお米にはこのメチオニンとシスチンが豊富に入っており、一緒に食べることで必須アミノ酸のバランスが整うようになっているのです。
実は、お米の必須アミノ酸はリジンが不足しており、大豆はそのリジンが豊富という、まさにお互いを補い合うベストパートナーなのです。
アミノ酸のアの字も知らなかった時代から、日本人は自然とごはんと味噌汁を組み合わせてきたことを考えると、未来人の仕業か?と思えるぐらいの見事な知恵です。
さらに、味噌は発酵によってビタミンB群が増えており、これがごはんの糖質の代謝もサポートしてくれます。
生活習慣病も予防する
大豆に含まれるサポニンはコレステロール値を下げたり、脂質の吸収を抑える作用が。
イソフラボンは細胞をサビさせる活性酸素を除去する抗酸化作用を持っています。
これにより、生活習慣病、ガン、さらには老化までをも予防してくれます。
さらにイソフラボンは女性ホルモンと似た働きをすることで、更年期障害や骨粗相症の予防に。
男性においても男性ホルモンが過剰に分泌されるのを抑え、前立腺がんを防ぐことが期待できます。
頭の働きをアップさせるレシチン
レシチンは脳の中で情報の伝達に使われるアセチルコリンという物質の材料。
これを不足させないことによって脳力アップにつながります。
また、アルツハイマー病や認知症の予防にも。
さらに、レシチンは水と油を混ざり合わせる”乳化作用“があり、これによってコレステロールが血管の壁にくっつくのを阻止し、動脈硬化予防にも一役買ってくれます。
「でも、塩分が心配…」という方も
味噌汁というと、「塩分が心配で…」という方もいらっしゃいますが、一般的な味噌汁一杯の塩分は1.4g。
それほど多い量ではありません。
といっても、味噌を入れすぎて味を濃くすると塩分摂取量が増加するので注意しましょう。
しっかりと出汁をきかせれば、味噌を入れすぎずとも旨味を感じることができます。
減塩味噌を使うぐらいなら、普通の塩分濃度の味噌を使う方がいいのではないかと、個人的には思います。
また、具材に野菜や海藻をたっぷり使うことで、そこに含まれるカリウムが摂取でき、余分な塩分を体の外に追い出してくれます。
茹で野菜だと、カリウムは水に溶けて減ってしまいますが、味噌汁であれば溶け出したカリウムも丸ごととることができます。
具沢山の場合は、具材から旨味が出るので、出汁を使わずに水で作っても美味しい味噌汁ができます。
味噌汁を作る時は、味噌の香りが飛ばないように、火を止めてから味噌を溶き入れてから再び火をかけ、沸騰させないぐらいで火を止めていただきましょう。
ちなみに、味噌を買うとついてくる、味噌の上にかぶせられている白い紙は、味噌が空気に触れるのを避け、乾燥や酸化を防止してくれますので、捨てないようにしましょう。
ラップで代用してもオーケーです。
まとめ
味噌汁は、まさに世界一健康的なスープ。
欧米から見れば、極東にある小さな小さな島国である日本が、世界が驚くような独自の文化を育むことができた裏には、味噌の功績があったのかもしれません。
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