顆粒だしで済ませていませんか?日本の出汁は究極のインスタント食品だった
こんにちは。管理栄養士の圓尾です。
和食といえば、昆布や鰹節を使った出汁が欠かせませんが、この日本の出汁文化、考えてみればスゴいものです。
何せ、西洋料理や中華料理では肉や野菜を何時間も煮込んでスープを取ります。これを家庭でやると考えると、とてもじゃないけど、えらい手間がかかります。
しかし、日本の出汁は昆布や鰹節、いりこなど、長期の保存がきくものを使い、さっと簡単に美味しい出汁が取れてしまうのです。
近年は便利な顆粒の化学調味料だしが出回っていますが、日本の出汁はそれ自体が伝統的なインスタント食品と言えるでしょう。
今回はこの出汁についてつらつらと書いてみたいと思います。
出汁の美味しさの正体
出汁の美味しさは”旨味“と表現され、これは「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」の四つの味覚に加えて、日本人が発見した味の種類で、英語でも”Umami“と訳されます。
この旨味の正体は、アミノ酸であるグルタミン酸と、核酸であるイノシン酸とグアニル酸などがあります。
整理すると、以下のようになります。
<<アミノ酸系>>
- グルタミン酸・・・昆布の旨味成分
<<核酸系>>
- イノシン酸・・・鰹節、いりこの旨味成分
- グアニル酸・・・シイタケなど、きのこの旨味成分
そして、この旨味には、種類の違うものを組み合わせると旨味が増すという効果があります。
定番の”鰹と昆布の合わせ出汁“がまさにこれで、鰹節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸が組み合わさることにより、単独よりもさらに深い旨みを生み出しています。
ちなみに、醤油や味噌の主な旨味はグルタミン酸なので、具材にきのこを使うとグアニル酸との相乗作用で旨味が増したり、いりこ出汁なら単独でもイノシン酸と味噌のグルタミン酸の相乗効果が働くため、美味しく食べられます。
また、貝の味噌汁が出汁を使わなくても美味しいのは、ハマグリ、アサリ、シジミにコハク酸という旨味成分が含まれており、これとの相乗効果が働くためです。
おおまかに、植物性(昆布、大豆、野菜など)はグルタミン酸、動物性(魚、肉など)はイノシン酸と覚えておけば、どの旨味を加えれば美味しさが増すかの目安になるかと思います。
出汁を気軽に楽しもう!
普段は顆粒の出汁を使っているという人も、騙されたと思って昆布と鰹節で出汁をとって味噌汁を作ってみてください。
その美味しさに感動しますよ。
味噌汁を作る時に出汁を取るのも、難しく考えなくてオーケーです。
昆布をちょっと(30分以上)水につけておき、時間がなければすぐに火にかけ、沸いたら鰹節をひとつかみ入れて1〜2分で完成。
濾すのが面倒であれば、昆布だけ取り出して鰹節は具にしてしまっていいです。
昆布を抜くタイミングとか、火にかける時間とかで、
「アクが〜」「臭みが〜」「ぬめりが〜」とか言いますが、やってみるとわかりますが、全然気になりません。
(直接話を聞かせていただいた鰹節の専門家は「料理人で昆布出汁をとる時にアクをすくうやつがいるが、あれはアクじゃねえ。ただの泡だ」っておっしゃってました笑)
もちろん時間のある時は手間をかけて出汁をとるのもいいですが、そうでない時は簡便式でいいのです。
もっと気楽に、簡単で美味しいこの素晴らしい出汁を堪能しましょう〜!
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