食べるだけで体が勝手にカロリーを使う? 食事誘発性体熱産生(DIT)とは
普段から健康に気を使っている皆さんは、食べ物に含まれるカロリーは気になるところでしょう。
もちろん、自分が食べたものにどれぐらいのカロリーが含まれているかを把握しておくのは大切です。
しかし、実際に食べ物に含まれているカロリーと、それを食べた時にカロリーになる量は違うことはご存知でしょうか。
食事誘発性体熱産生
摂ったカロリー ≠ 使えるカロリー
たとえば、マクドナルドのてりやきバーガー。これは一つで500kcalもあります。高いですね。
しかし、実際にこのハンバーガーを食べても体の中で500kcalすべてをエネルギーとして使うことはできません。
なぜかというと、私たちの体はものを食べた時に、それを消化して吸収するという作業を行うため、これにエネルギーが消費されるのです。
具体的には消化管が消化液を出したり、消化管自身が動いたりすること、肝臓などの器官も仕事をします。
なので、実際に体の中でカロリーとして使える量は食べ物に含まれていたカロリーの量よりも少なくなります。
栄養素ごとのDIT
この現象を「食事誘発性体熱産生(Diet-Induced Thermogenesis: DIT)」と言います。
食事をすると、体があったまる感じがしますが、あれはDITによって熱が発生しているからです。
そしてこのDIT、つまり産生される熱量は栄養素によって変わってきます。
カロリーのもととなる栄養素は3つで、炭水化物、たんぱく質、脂質ですが、
DITの割合、つまりどれぐらいが体熱産生に使われるかというと、
炭水化物⇒6%
脂質⇒4%
たんぱく質⇒30%
となっており、たんぱく質がずば抜けて高くなっています。
そして普段の食事ではこれらの栄養素がごちゃ混ぜになっているので、総合的に考えると約10%がDITに使われているということです。
つまり、摂ったカロリーのうち1割は消化・吸収のプロセスに使われています。
さきほどの500kcalのてりやきバーガーなら、50kcalぐらいは自動的に消費されているといった感じです。
DITの応用
エネルギーを作る3つの栄養素のうち、たんぱく質はDITの割合が高いです。
よって、体を温めたければたんぱく質を摂るとあったまるということが言えます。
たとえば、ただのそばを食べるより、鴨そばを食べた方が肉のたんぱく質が入るので、DITは高くなります。
そしてこのDITはダイエットにも応用することが可能です。
DITは食事をする時間帯によっても変動することが知られており、朝にもっとも高まります。
よって、同じ食事をしていても、朝に食べたものの方がDITに使われる割合が多く、夜に食べたものはその割合が少なくなるので、夜に食事をした方が太りやすくなります。
よって、きちんと朝食をとって夕食は軽めにしたほうがダイエットにもいいわけです。
また、たんぱく質が多い食事をすることもDITの特徴をうまく使ったダイエットになります。
ただ、やり過ぎは禁物ですので、気をつけてください。
まとめ
栄養素や時間帯によってDITが変化するというのがおもしろいですね。
こういった知識も知っておくと普段の生活に活かせると思います。