本物の出汁の味を堪能する! ”幻の”一本釣りの鰹節とは
今月から始める新イベント「厨 KURIYA」。
その第一回目のコンテンツの一つとして、日本料理に欠かせない”本物の出汁”を体験してもらうということをやります。
それにあたって先月、都内で鰹節の問屋さんをされているタイコウさんのもとに足を運び、直接お話を聞かせていただきました。
【 1月からスタートする新イベント「厨 KURIYA」の詳細はこちら 】
鰹節の香りが立ち込める一角
場所は中央区晴海の鰹節問屋さんが集まっている一角にありました。
近くに行くと、どこからともなく、鰹節の香ばしい香りが立ち込めてきて、地図を見なくても場所がわかりました。
この一角にはタイコウさん以外にもいくつかの鰹節業者さんが軒を連ねています。
タイコウさんの鰹節の特徴
タイコウさんの鰹節の特徴はなんといっても、原材料の鰹はすべて一本釣りのものに限定していることです。
鰹を獲る手法には、一本釣りの他に巻き網漁があり、こちらの方がいっぺんにたくさんの鰹を捕獲できるため、コストもかからず、効率的です。
しかし、巻き網式だと、網の中で鰹が激しく暴れ、旨味の成分のイノシン酸の元になるATPが消費されます。
さらに、筋肉の中に乳酸も大量に発生してしまうため、味が落ちてしまうのです。
タイコウさんは日本料理の基礎となる出汁に本物の材料を使って欲しいとの想いから、原料をすべて一本釣りのものにされています。
さらにその鰹も、鹿児島県の枕崎にある漁港の信頼できる漁師さんから仕入れいているとのこと。
ちなみに、一本釣りの鰹を使った鰹節は鰹節全流通量中、わずか2%未満だそうです。
【 参考 】タイコウさんの鰹節作りへの想いがわかる記事はこちら
鰹節を作る材料
鰹節を削るのがカンナですが、大工さんが使うカンナとは刃の位置が違います。つまり、鰹節専用のカンナを使います。
刃の出す長さで削れる鰹節の様子が変わってくるのですが、
その調整の微妙なこと!素人が目で見てもわからない、数字にするとわずか0.0何ミリの世界でしょうか、それを一瞬で見分けて調整する、まさに職人技です。
そして、一本の鰹節も削る角度によって、味が変わってきます。
一本の鰹節から5種類の鰹節が削れるとのことでした。
ちなみに、一本の鰹節を変えば、2年は味がもつとのこと。驚きです。
鰹節は削りたてが一番美味しい
さらに驚くことに、鰹節は削りたてが一番美味しく、30分経つともう味が変わるとのこと。
この時点で、市販の花がつおは味が落ちることになります。
削りたては使う量も、少しで済みます。
そして、有名な日本料理屋さんでも、鰹節ではなく、すでに削ってある削り節を仕入れて使っているところも結構あるらしいです。
しかし、この話を聞くと鰹節の扱い一つでその料理屋さんの味がわかりそうな気がします。
由緒正しい料理屋さんには「鰹節はお客の顔を見てから削れ」という教えがあるそうです。
まとめ
今回、直接タイコウの稲葉社長からお話を聞かせていただき、とても勉強になりました。
長年続けられてきた伝統は、一つひとつ意味があって、それを守ることでしか得られない美味しさがあります。
残念なことに、タイコウさんのようにきちんと本物の鰹節を作っているところは他にはほとんどありません。
しかし、本物とは何なのか、その価値に触れた時、自然と尊い心が芽生えます。
こういったことをもっともっと伝えていかないといけないなと感じました。
今回の1月の厨 KURIYAではなんと、ありがたいことにタイコウの稲葉社長が直接イベントに来ていただくことができます。
快く引き受けてくださったタイコウさんの人柄に感動しました。
さらにカンナもご提供いただいて参加者さんで鰹節を削ってその出汁で味噌汁を作るというコンテンツを用意することができました。
僕もイベントの主催者として、このような価値あるものを伝えることができる場を持つことができ、とても意義を感じています。
参加者の方がどんな感想を持たれるのか、楽しみです。