「日本酒で太る」はウソ?!その噂の真偽を現役管理栄養士が解説します。
こんにちは。管理栄養士の圓尾(まるお)です。
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最近、とある番組の収録でお酒の話をさせていただいたのですが、
会場の出演者の方から「日本酒って太るんですか?」と聞かれました。
糖質制限食が流行って糖質がゼロの蒸留酒が人気ですが、
その陰で「日本酒は糖質が多いので太る」と思われているようです。
そこで今回の記事では、「日本酒を飲むと太る」は本当なのか?ということを徹底検証していきたいと思います。
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「日本酒で太る」はウソ?!その噂の真偽を現役管理栄養士が解説します。
日本酒の糖質の量に着目してみる
お酒のカロリーは、
「アルコールによるカロリー」と「それ以外(糖質)によるカロリー」
の二つによって構成されています。
しかし、アルコールによるカロリーは摂取してから優先的に使われるため、直接的に脂肪に変わるというわけではありません。
一方の糖質のカロリーはとりすぎると脂肪という形で溜め込まれ、行き過ぎると肥満につながります。
なので、注目すべきは糖質によるカロリーの方です。
この糖質の量がお酒の種類によって差があります。
お酒の種類ごとの糖質量
それでは、お酒の種類別の糖質量を見ていきましょう。
- ビール・・・3.1g
- 発泡酒・・・3.6g
- 白ワイン・・・2.0g
- 赤ワイン・・・1.5g
- 日本酒(純米酒)・・・3.6g
- 梅酒・・・20.7g
- ウイスキー・・・0g
- 焼酎・・・0g
ウイスキーや焼酎などの蒸留酒は糖質がゼロです。
ワインは比較的糖質量が少なく、それに比べるとたしかに日本酒は糖質が多いのがわかります。
日本酒に含まれる糖質量は多いのか
さらに詳しく、日本酒の糖質量を見ていきます。
日本酒に含まれる糖質量は、100g当たり3.6gです。
一合は180gなので、日本酒を一合飲んで摂取する糖質量は約6.5gとなります。
これは、角砂糖1.5個分に相当します。一合飲んでもたった1.5個分。
ちなみに、某炭酸飲料500mlの中には角砂糖15個分の砂糖が含まれています。
確かに日本酒は糖質を含んでいますが、一合飲んだところで、たいした糖質量は摂取していません。
ちなみに、他の食品で置き換えると・・・
日本酒を一合飲んだ時の糖質量6.5gがいかに微々たる量なのか。
それを理解するために、この糖質量を他の食品で置き換えてみると、次のようになります。
- ごはん・・・コンビニおにぎりの1/5個分
- 食パン・・・六枚切りの1/5枚分
- チョコレート・・・板チョコ2ブロック分
- コーラ・・・350ml缶の1/9分
このように、日本酒を避けて蒸留酒にしたところで、
その浮いた分の糖質は他の食べものや飲み物で一瞬にして吹っ飛んでしまいます。
だったら我慢せずに日本酒を飲んで、抑えたいなら他のものでちょっと量を減らした方が賢明ではないでしょうか。
糖質ゼロだからといって・・・
おまけでもう一つお話しましょう。
たとえ糖質が含まれていない蒸留酒だとしても、お酒は飲みすぎると太ります。
その理由の一つが、お酒には胃酸の分泌を促して食欲を増進させる作用があること。
アルコールによって脳の働きも鈍くなり、満腹を感じにくくなるので、ダブルパンチで食べ過ぎやすくなります。
また、アルコールは肝臓で処理されますが、たくさんアルコールをとると肝臓がその分解で忙しくなります。
そうなると、栄養素の代謝作業まで手が回らなくなり、脂肪が蓄積しやすくなると言われています。
さらに、先ほど「アルコールのカロリーは優先的に使われる」と書きましたが、
ということは、アルコールのカロリーを摂り過ぎると、他でとったカロリーが余りやすくなるということです。
これも脂肪の蓄積につながります。
まとめ
お酒はどの種類が太りにくいとは一概に言い難く、結局は適量に抑えておくのが一番良いです。
適量の飲酒量は、厚生労働省によると、
ビールなら中瓶一本(500ml)、日本酒なら一合、ワインで二〜三杯程度
とされていますので、ご参考に。
日本酒は、世界一アルコール度数の高い醸造酒。
蒸留酒でなくてこれだけアルコール度数を高めるには、スゴい技術がいるのです。
そんな世界に誇る日本酒が、「太る」という濡れ衣を着せられているのはもったいないですよね。
ぜひ安心して日本酒を楽しみましょう!
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