【書評】「欧米人とはこんなに違った日本人の体質」奥田昌子
こんにちは。
管理栄養士の圓尾(まるお)です。
世界にはさまざまな民族や
人種の人間が住んでいます。
みんな同じ人間なれど、
その遺伝子には
異なった特徴があることがわかっています。
これは健康を考えるうえで非常に重要で、
ある民族には有効なことも
別の民族には適用できなかったりします。
そんな人種ごとの体質の違いを解説したのが
今回ご紹介するこちらの本です。
【書評】「欧米人とはこんなに違った日本人の体質」奥田昌子
女性の発症率トップは乳がん
乳がんと前立腺がんには共通点があり、前立腺がんであれば男性ホルモン、乳がんなら女性ホルモンの影響を受けて増殖するがんが大部分を占めています。
(P.204)
僕がこの本を読んで改めて驚いたのが、
乳がんの怖さです。
先日は心を痛める乳がんのニュースがありましたが、
本当に乳がんはおそろしい。
そして男性でも前立腺がんの発症率は
ものすごい勢いで上がっており、
現在、女性では乳がん全がんの部位別でみると
発症率が第一位なのですが、
男性も2024年には前立腺がんが
発症率の第一位になると予想されています。
これ、どちらも
性ホルモンの影響を大きく受けるがんなんです。
男女とも、性ホルモンが何かの異常にさらされている?
これはこわすぎますね。
一体何が起きているのでしょう……。
乳がんは若いときから発症する
ところが乳がんは様子が違い、30代から増加が始まって、40代なかばと60代なかばに二つのピークができています。
(P.205)
乳がんと前立腺がんの大きな違いは、
前立腺がんは60歳を増えたぐらいに増え始め、
70代後半がピークになります。
しかし乳がんは、
30代から増加が始まり、40代に発症のピークを迎えます。
男性の前立腺がんに比べて
ものすごく発症年齢が若いのです。
60代ぐらいになれば誰でも少しは
身体のことを気にし始めるでしょうが、
30代という若い時期に
そこまで自分の健康を意識する方は多くないでしょう。
こうして気を抜いている間に
しずしずと迫ってくるのが乳がんなのです。
欧米型の食事をすると乳がんリスクが高まる
すると、欧米型の食事をする頻度が最も高いグループは、最も少ないグループとくらべて、乳がんの発症率が1.3倍になることがわかりました。
(P.210)
なぜこれほど女性の乳がんが増えたのか。
その一つと見られているのが、
食の欧米化です。
日本人女性5万人を対象に行われた研究によると、
「肉類、乳製品、パン、コーヒー」などが食卓に並ぶ
欧米型の食事をしている女性は
乳がんの発症率が高かったという結果が出ています。
米を食べない、魚を食べない、大豆を食べない、
出汁をひかない、味噌などの発酵食品をとらない、
そんな和食離れに拍車がかかっていますが、
これも乳がん増加につながっていると考えられます。
しかも実際にがんになるには
細胞に異常が起きてから10年以上はかかると考えられているので、
女性は10代ぐらいから食生活に気をつけないと
若くして乳がんを発症するリスクが高まってもおかしくないのです。
肉を減らして大豆を食べよう
日本とアジアの他の国でおこなわれた研究からは、大豆製品の摂取により、乳がんの発症率がおおむね30〜40%下がることが報告されています。
(P.217)
2015年に国際がん研究機関が
牛、豚、羊などの肉には「おそらく発がん性がある」とし、
ハムやソーセージなどの加工品には
「発がん性がある」と発表したことがニュースになりました。
同じたんぱく質をとるなら、
断然大豆製品のほうが良いです。
引用であげたように、大豆製品の摂取で乳がんの発症は
なんと30〜40%も下がるという結果が出たのです。
この効果の大きさはただごとではありません。
しかも大豆製品をとれば、
大豆イソフラボンによる女性特有の悩みへの効果や
食物繊維、マグネシウムなどのミネラル、ビタミンB群と
肉では補えない他の栄養素までついてくるのです。
まとめ
僕は常々、
日本人には日本人の伝統食がもっとも健康的だ
というふうに考えていますが、
それが遺伝子の面からも解明されようとしています。
海外発の健康法やスーパーフードばかりば注目されがちですが、
いま直面している問題を本当に解決できるのは
日本の伝統食の復活に他なりません。
それにしても、いままで自分が男だったので
あまり興味を持って調べていませんでしたが、
女性の方は本当に乳がんに気をつけたほうが良いかと思います。
乳がんは多いですが、
きっと自分の努力で防げるはずです。
ぜひ、本書も一読されることをオススメいたします。