【書評】「あなたの体は9割が細菌」アランナ・コリン
こんにちは。
管理栄養士の圓尾(まるお)です。
腸内環境に関する本を読んだのでご紹介します。
こちらは洋書の翻訳なのですが、
やはり欧米の健康本は内容が非常に充実していて
読み応えがありますね。
早速、紹介していきましょう。
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【書評】「あなたの体は9割が細菌」アランナ・コリン
21世紀病は、腸内環境の乱れが原因
いずれにせよ、二十一世紀病の中心にあるのはこのディスバイオシスだ。
(P. 77)
20世紀のはじめまで、
人類は感染症に悩まされていました。
死因の主たるものは感染症で、
多くの人々がそれによって命を落としていたのです。
しかし、人類はそれを
予防接種や抗生物質、
さらには衛生概念を徹底させることによって
克服しました。
それに取って代わるようにして
現代人を悩ませているのが21世紀病です。
これは各種のアレルギーや自己免疫疾患、
心の病気や肥満などで、
これまでの人類がほとんど体験してこなかったような
21世紀に特有の症状です。
筆者はこの原因がディスバイオシス、
つまり腸内環境の乱れにあると指摘します。
日本は発酵食品が世界一豊かだと言われますが、
昔から菌とともに生きる文化を持っていました。
それがいまでは世界の中でも超がつくほどの
キレイ好きな民族になっています。
除菌、殺菌が大好きで、
それらの効果をうたった生活用品も売れています。
もちろん、
ある程度の衛生的な環境を確保することは大事ですが、
キレイ好きも行き過ぎると
腸内細菌をいじめることになってしまう
ということを、肝に銘じなければなりません。
この体はだれのもの?
しかし、心も体も共生微生物の影響を受けているとすると、私の自由意志や成功は、どこまで私のものなのだろう。
(P. 129)
一人の人体の中には
約100兆個の腸内細菌がすんでいると言われます。
人間の体を構成している
細胞の数も100兆個なので、
細胞と同じ数だけの細菌が
体の中に住んでいることになります。
そしてこの腸内細菌によって
人は体の状態だけでなく、
心の状態までも影響を受けています。
何かに怒ったり、不安に感じたり
何かを取捨選択している自分。
でも果たして、その自分は
自分の意志で動いているのでしょうか。
もしかしたら、腸の中に住んでいる
生きものに操られているのかもしれません。
経膣分娩、母乳育児が子どもにとっては最善
帝王切開が二十一世紀病のリスクを高めているのは明らかだ。
(P. 238)
帝王切開で生まれた赤ん坊は、
感染症にかかりやすく、
幼児期にアレルギーを発症しやすく、
自閉症と診断される割合も高くなる。
さらには肥満さえも関係が指摘されています。
これは母乳ではなく、
粉ミルクで子どもを育てた場合も同じです。
もちろん諸事情によって
選択が限られる場合もあると思いますが、
選択をする上で必要な情報が
すべての女性に与えられることを願います。
こういうとき、自分が男性だと
子どもの腸内細菌に関してしてあげられることが少なくて
歯がゆい気持ちになりますね。
まとめ
こちらの本、非常に読み応えがありました。
本当はこの5倍ぐらい書きたいことがあります。
さまざまな研究や科学的根拠に満ちあふれていて、
ワクワクしながらページを繰っていきました。
興味のある方は、ぜひ本を読んでみてください。
僕が読んでいて改めて感じたのは
伝統食を大事にすることです。
日本人の食生活は
食物繊維が多く、発酵食品によって菌を取り入れるという
良い腸内環境をつくる上で理想的なものでした。
戦後、その良さがどんどん失われていっています。
今こそ、改めて日本の伝統食を
日常に取り戻し、日本人の腸を健康にするときが来ています。