「専門分野が決められない…」フリーランス四年目の僕がそんな栄養士さんに伝えたいこと
こんにちは。管理栄養士の圓尾(まるお)です。
僕は現在、フリーランスとして活動しはじめてから四年目に入っています。
その中で自分のテーマにしているのが「日本の伝統食の良さを伝える」ことと「ファスティングの普及」です。
この二つを伝えることによって食育につながり、多くの人の体と心を元気に豊かにすることができると確信しています。
しかし、最初からこれらのテーマを持っていたわけではありません。
むしろ、この二つは独立したばかりの頃はまったく頭の中にない命題でした。
「独立して活動したい」という栄養士さんから相談を受けることも多いのですが、
その中で「自分の専門分野が決められない」という人が結構います。
「やりたいことが多すぎて、どこに絞ればいいのかわからない」
あるいは
「やりたいのはダイエット支援だけど、ただダイエットといってもライバルが多いから何かに特化したい」
などの声を多く聞きます。
僕は彼らの気持ちがよくわかります。
なぜなら、かつての僕もそうだったから。
そこで今回は、僕がどのようにして自分の専門分野を見つけていったのかをお話したいと思います。
「専門分野が決められない…」フリーランス四年目の僕がそんな栄養士さんに伝えたいこと
見切り発車で病院を辞めて独立した
僕は一年半ほど病院で勤務をし、2013年の3月をもって退職しました。
その時考えていたのは「とにかく予防医療をやりたい!」ということ。
病院で毎日毎日生活習慣病を患った患者さんの食事指導をしてきて、
生活習慣病の恐ろしさと改善の難しさを嫌というほど目の当たりにしてきました。
「確かに生活習慣病になってしまった方への食事指導は大事な仕事だけど、それを防ぐ方に栄養の力を活かしたい」
そんな思いが強くなり、独立を決意したのです。
しかし、じゃあ「具体的にどういう方法で、どういう食事によって予防医療に取り組むのか」ということはほとんど考えておらず、
「とにかく独立してできる仕事をやっていこう!」という、今思うと超見切り発車な状態での独立でした。
なので、最初の方はとにかく苦労の連続。
「このままではいけない。もっと自分の専門分野、強みとなる事柄を磨いていかないと!」
そう思ってカフェにこもって紙にいろいろ書き出して考えをこねくり回してみるのですが、
出来上がったそのビジョンは数日後には忘れてしまっていました。
結局、無理矢理考えた「やりたいこと」なんて本当はやりたくなんてなかったのです。
いかにして専門分野を見つけたか
さて、そんな僕がいかにして「伝統食」と「ファスティング」に行き着いたのか。
それは、一言でいうとまったくの偶然です。
まずファスティングですが、これは五年前に参加したとある健康セミナーに参加したのがきっかけです。
そのセミナーでは講師の方がたまたまファスティングマイスターの資格を持っていて、終わりがけに一冊の本を参加者にプレゼントしてくださいました。
それがこちらの本です。
日本のファスティングの第一人者である山田豊文先生の著書でした。
しかし、その当時の僕は
「ン?ファスティングって何?…ああ、断食か。フッ、食事もせずに健康になれるわけないだろ」
と、一蹴し、あろうことかせっかくもらった本を開くことなく本棚の奥にしまっていました。
それから一年ほどたった年末、大掃除をしていた僕はたまたまその本を見つけます。
「ああ、こんな本あったね」
大掃除の休憩がてら、何となしにページを繰っていくと、どんどん引き込まれていき、気がついたら一冊を一気に読み終えていました。
(……。ファスティングってスゴいかも…!!)
これが人生の転機でした。
ここからファスティングのサポートを受けて自分で実践し、ファスティングマイスターの資格を取得して活動するようになったのです。
さて、もう一つの伝統食との出逢いも軽く紹介しましょう。
こちらの方はちょうど今から二年前です。
ある料理研究家のような仕事をされている方と出逢い、一緒にイベントをやることになりました。
そのイベントでは日本の伝統文化と食をテーマにしようということで、色んな職人さんに取材に行くことに。
そこで東京の晴海にある鰹節の卸問屋「タイコウ」の稲葉社長にお会いさせていただきました。
この出逢いがまた僕を大きく変えるきっかけとなります。
稲葉社長の鰹節にかける情熱。
そして、鰹節という日本が生んだ信じられないほどの工夫が凝らされた食品。
食べものを作るということ。
それを届けるということ。
そんないろいろなことがものすごく刺激となり、ここから一気に視野がパーッと開けてきました。
「日本の伝統食は健康に良いだけでなく、食を見直すきっかけ、さらには心を豊かにもするものだ!」
それに気づくことができたのです。
考えるな。走りながら考えろ!
長々と自分の体験を書いてしまいましたが、ここまで具体的に書くとより理解していただけたのではないでしょうか。
そう、僕が専門分野を見つけたのはまったくの偶然だったのです。
それは本との出逢い、そして人との出逢いがもたらしてくれたもの。
いくら部屋にこもって紙を広げ、自分のこれまでの経験を洗い出して自己分析を何時間したって出てくることはなかったものです。
しかし、偶然というのはただ待っていても向こうからやって来ることはありません。
自分が動かなければ、何も起きないのです。
自分が「これだ」と思えるような、一生関わりたいと思えるようなテーマというのは行動によってのみ、見えてくるものです。
もちろん、考えることも大事。
だから、走りながら考えるのです。
走るのが先。
とにもかくにも行動を起こすのが大切です。
今、何にもテーマが見つからないという人。
何かほんのひとかけらでもいいので、興味のあることから入っていってみてください。
最初は心もとない、手応えもないかもしれませんが、
自分が動けば、世界が動き始めます。
最初は少しずつ、しかし、確実に前へ進むことができるのです。
そして、自分の専門分野が見つかると本当に仕事が楽しくなりますよ。
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