日本とどっちが健康的?管理栄養士が気づいた台湾の食事情5つ
先日、台湾に旅行に行った旅行記を書きました。
今回はテーマを食に絞り
僕が感じた台湾と日本の食事情の違いを5つ書きたいと思います。
1、台湾のほうが野菜を多く食べている
まず感じたのが、台湾のほうが野菜を多く食べているということです。
街中の食堂でも必ずこういった野菜炒めのメニューがあります。
日本だと手軽に入れるお店のサイドメニューの野菜といえば、まずサラダです。
しかしその中身はというと、レタスやキャベツなどがほとんど。
しかも生野菜なのでそれほど量がとれていません。
台湾のほうがどこでも手軽にたくさん野菜をとれるように思いました。
また、分かりにくいですがこういった麺類の中にも細かい野菜やきくらげが結構入っています。
日本のそばやうどん、ラーメンなどの麺類はなかなか野菜類がとりづらいですが
台湾の麺類は結構野菜類がとれるものが多いように感じました。
実際、国ごとの野菜供給量を比べたデータを見ると
日本の291g/日に対して、中国は767g/日と約2.6倍です(台湾のデータは見つかりませんでした)。
(出展:FAOSTAT「Food supply quantity(g/capita/day)」vegetables+(total))
僕が留学したときも
中国人や台湾人の学生はスーパーに行ったときにビックリするぐらいの量の野菜を買い込んでいたのをよく覚えています。
しかも彼らはほとんど生野菜を食べず、火を通した野菜を食べるのでかさが減ってたくさん量がとれるのです。
2、麺類の塩分が低い
台湾のラーメンを食べて感じたのは、汁の塩分が控えめだということです。
日本でラーメンを食べると、僕は大体スープを半分ぐらい残しますが
それは味が濃すぎてとても全部飲めないからです(脂っこいこともあります)。
それに比べて台湾の麺類のスープは明らかに塩分が控えめ。
なので、最後まで飲みきってもしつこいと思ったり喉が渇いたりすることがありませんでした。
ラーメン用のスープというよりは、スープ料理の中に麺が入っている感覚です。
ただでさえ日本人は塩分摂取量が多いので、麺類のスープの塩分濃度をもう少し抑えても良いと思います。
3、食堂が朝早くからやっている
朝七時ごろ、ホテルの周りを散歩していて驚いたのですが
この写真にあるような食堂が、そこらじゅうで早朝から営業しているのです。
もちろんメニューも豊富で、朝から栄養バランスの整った食事を手軽にとることができます。
日本で朝早くからやっているところとなると
カフェかファーストフード店のハンバーガーショップ、牛丼店、そば屋ぐらいのものでしょう。
台湾では朝早くからいろんなお店がやっており、サッと入って食事をとることができる環境があります。
うらやましい限りです。
4、外国料理が少ない
日本で外食するとなると、いろんな選択肢があります。
そしてその中で日本食の割合は決して多くありません。
居酒屋はそれなりにありますが、普通に日本の家庭料理のような手軽なごはんをサッと食べられるお店が少なすぎます。
しかし、台湾ではほとんどが台湾の料理、家庭料理を出しているお店です。
ハンバーガーやイタリアンなどの洋食も探せばありますが、割合は圧倒的に少ないです。
一番驚いたのがこちらのお店です。
手前にスープ、その奥に何十種類という惣菜が所狭しと並べられています。
そして一番奥に大きな炊飯器があります。
このお店は客が各自容器を取って好きなものを取っていくビュッフェ形式です。
僕はこのお店を見て心底台湾の人々がうらやましくなりました。
日本にこんなお店があったらどれだけ良いでしょう。
味噌汁、そして切り干し大根、ひじきの煮物、きゅうりの酢の物、きんぴらごぼう、もずく酢、高野豆腐の煮物、おからの煮物、さつまいもの煮物、酢蓮根、ほうれん草の胡麻和え、ぬか漬けなどがズラーッと並んでいる。
そして炊飯器が並んでいて、白米、玄米、雑穀米が選べる。
もしそんなお店があったら……。
想像するだけで楽しくなってしまいます。
日本ももっと自国の伝統食を大事にする国になっていってほしいです。
5、食料品スーパーが少ない
台湾の街を歩いて思ったこと。
スーパーがほとんどないのです。
最初「みんなどこで食料買ってるんだろう。外食が多いのかな」と思っていました。
しかしあるとき、あるものを見つけてその謎が解けました。
そう、街中に市場が開かれていたのです。
しかも普通の平日の朝8時です。
ものすごい数のお店です。
おそらく採れたてなのでしょう。新鮮で元気な野菜が並んでいます。
魚もあれば、肉もあります。
おそらく台湾の人たちはこういった市場で食料を買って帰って料理をしているのでしょう。
なんて豊かなんでしょうか。
スーパーと違い、市場で買い物をするとお店の人と会話をする機会が増えます。
「今日はこの野菜が安いよ」
「この野菜が出る時期になったよ」
「今日はこの魚がおすすめだよ」
「これどうやって食べたら美味しいの?」
そんな様々な会話を経て買い物をし、家で料理をして家族と食卓を囲む。
利便性を追求した結果、生産者と消費者の間に大きく距離ができてしまった日本とは対照的な食との付き合い方です。
こういったことは、栄養面以上に大事なことのように思うのです。
いまの日本が抱える健康問題や心を病んでいる人が増えている問題は栄養状態を改善することも重要ですが
それ以上にそもそも食との付き合い方を見直すことが必要なのではないでしょうか。
台湾にいて、なぜここの人たちよりも日本人のほうが寿命が長いのだろうと不思議に思うほどでした。
(医療技術のおかげでしょうか)
この人たちのほうが、よっぽど健康的な生活をしていると思います。
近い国なのに、食に対する態度、付き合い方がこれほど違うとは大きな衝撃を受けました。
まとめ
管理栄養士の役目は、食で人々の暮らしを健康に豊かにすることですが、
それには栄養のことを伝えているだけでは不十分だと思います。
それ以上に食文化のこと、食とどう付き合ったらより幸せになれるのか。
そんな食のおもしろさ、気付きを多くの人に与えていくことこそ、今の日本人に必要なことではないでしょうか。
過去に日本は決断し、効率化を優先しその結果としてめざましい経済発展を経て物質的に豊かな国になりました。
そのことを嘆いても何も始まらないし、それは過去の日本人が下した決断なので尊重したいと思います。
「昔は良かった」と言ってもいまさら過去に戻すことは不可能です。
そうではなく、ではいまの状況とその問題点を把握したうえで、“これから”をどうしていくのか。
そのことを考えていくことこそ重要です。
そしてそのためには日本の状況だけを見るのではなく、他の国の食事情を見ることで見えてくるものがあります。
僕も今回の台湾旅行で感じたこと、気付いたことをこれからの活動に活かしていきたいと思います。