ダイエットにも貧血予防にも!日本のスーパーフードで水溶性食物繊維をたっぷりとろう
こんにちは。管理栄養士の圓尾(まるお)です。
(初めての方は、こちらからどうぞ)
日ごとに秋が深まってまいりました。
秋は多種多様な味覚が目白押し。
四季がある日本の気候は素晴らしいですね。
さて、今回は水溶性食物繊維という栄養成分に焦点を絞ってお話をしていきたいと思います。
なんせこの水溶性食物繊維、太るのを防いでダイエットになったり、
鉄分の吸収を促して貧血を予防したりと良い効果が大炸裂なのです。
加えて、日本の食材で水溶性食物繊維を多く含む食べものもご紹介していきたいと思います。
ダイエットにも貧血予防にも!日本のスーパーフードで水溶性食物繊維をたっぷりとろう
水溶性食物繊維って何?
炭水化物の中で、人の消化酵素で消化できないものを食物繊維と呼んでいます。
水溶性食物繊維とは、その中で水に溶ける性質を持ったもので、
反対に、水に溶けない不溶性食物繊維もあります。
これらの二つは、それぞれ働きが異なることがわかっています。
水溶性食物繊維のここがスゴい!
水溶性食物繊維のスゴいところは、
腸内細菌によって発酵され、短鎖脂肪酸を生み出すことです。
つまり、簡単にいうと腸の中に住んでいる腸内細菌のエサになるということです。
で、この短鎖脂肪酸なのですが、
これが極めて有用な効果をもたらすことがわかっています。
短鎖脂肪酸って何?
短鎖脂肪酸とは、炭素鎖が短い脂肪酸の総称で、
酪酸、酢酸、プロピオン酸などがあります。
「えっ?脂肪ってことは油?」って思うかもしれませんが、
確かに脂質を構成する成分ではあるのですが、話がややこしくなるので、一旦油のイメージは脇に置いておきましょう。
さて、この短鎖脂肪酸はどんな益をもたらしてくれるのでしょうか。
一、ダイエットになる
この短鎖脂肪酸のスゴいのは、ダイエットになることです。
この仕組を簡単に説明しましょう。
腸内細菌によって作られた短鎖脂肪酸は、そのまま腸で身体に吸収されます。
そして、全身に運ばれるのですが、
この時、脂肪の細胞にも取り込まれます。
脂肪細胞は、この短鎖脂肪酸を取り込むと、栄養分の取り込みを抑えることがわかっています。
そもそも、”太る”という現象は、脂肪の細胞の数が増えているわけではなく(子どもは除く)、
一つひとつの脂肪細胞が膨らんで大きくなっている状態です。
その脂肪細胞が大きくなる原因は、
栄養の摂りすぎによって余った分を細胞の中に取り込んで脂肪に変え、非常時のために溜め込むために起きます。
しかし、短鎖脂肪酸はこの脂肪細胞が栄養分を取り込むことを抑えるので、
それ以上大きくなるのを防いでくれるのです。
二、鉄分などのミネラル吸収を促進する
短鎖脂肪酸の効果はダイエットだけではありません。
鉄分をはじめとする、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などのミネラル分の吸収を向上させてくれます。
これは、短鎖脂肪酸が作られることによって、腸の中が酸性になることにより、
鉄分などのミネラルが水に溶けやすくなり、腸から吸収されやすくなるからです。
現代の女性では貧血がよく見られますが、いくら鉄分をとってもなかなか改善されないことがままあります。
僕は、これは腸の機能が低下しているからではないかと考えています。
身体の中に入れる鉄分の量をいくら増やしても、腸がそれをきちんと吸収できないと意味がありません。
昔の日本人の食生活を見ていると、鉄分の摂取量は現代よりも少なく思えますが、
貧血が多発したという話は聞いたことがないですよね。
これは、昔の日本人の腸が健康だったことによるのではないでしょうか。
さて、ホントは短鎖脂肪酸の効果はもっとあるのですが、
今回はこれぐらいにして、次に具体的に水溶性食物繊維が多い食べものを見ていきましょう。
水溶性食物繊維が多い食べものはこれだ!
基本的に、水溶性食物繊維が多い食品としては、
「きのこ類」「野菜」「果物」「海藻類」などと言われていますが、
実は結構、種類によって入っている量が違います。
今回はそんな中でも特に水溶性食物繊維が多く、今の季節に合ったものをいくつかご紹介しましょう。
一、海藻類
わかめ、昆布、もずくなど。
残念ながら、海藻類では食物酵素を水溶性と不溶性に分けて測定するのが難しいらしく、
食品成分表にも数値が掲載されていません。
しかし、「アルギン酸」や「フコイダン」などの海藻に含まれるぬめり成分は水溶性食物繊維として働くため、
海藻類に水溶性食物繊維が多いのは間違いありません。
手軽にとるのでしたら、パックで売られている芽かぶやもずく酢、
刻み昆布なんかを持っておいて和え物や煮物に使っても良いですね。
二、納豆
大豆自体にも水溶性食物繊維は多いのですが、
ただの茹でた大豆に比べて納豆菌で発酵させた納豆では、水溶性食物繊維の量が約三倍も多くなっています。
これは脅威の量で、
水溶性食物繊維が多いと言われる大部分の野菜や果物、そしてきのこよりも全然量が多いです。
やはり納豆はスゴい…。
三、ごぼう
これから美味しい季節になるごぼうも、野菜の中では水溶性食物繊維の量が頭ひとつ分飛び抜けています。
同時に不溶性食物繊維がたっぷりとれるのも嬉しいところ。
定番のきんぴらはもちろん、味噌汁やけんちん汁などの汁物の具材として、
きのこと一緒に炊き込みご飯にすれば、さらに水溶性食物繊維がとれますね。
番外編 らっきょう
今回調べてみて意外だったのが、らっきょうに水溶性食物繊維が多かったことです。
一度に食べる量はそれほど多くない食材だとは思いますが、
単純に水溶性食物繊維の量(甘酢漬けの状態)でみると、
きのこの中でも水溶性食物繊維が多いなめこの二倍近く入っています。
これは常備菜としてかなり優秀選手ではないでしょうか。
ちなみに、市販のらっきょうの甘酢漬けは添加物を使ったものが多いですが、
ぜひ無添加のものを探して試してみてください。
その本当の美味しさに驚きますよ。
まとめ
というわけで、今回は水溶性食物繊維に焦点を当ててお話をしました。
同じ食物繊維でも、水溶性か不溶性かによって全然性質が違うのでおもしろいですね。
腸内環境は食事の影響を大きく受け、短期間で変化することが知られていますので、
早速、次の食事から水溶性食物繊維を意識してとってみてはいかがでしょうか。