ただ摂ればいいというものでもない? 食物繊維はバランスに秘密があった
「腸をキレイにしてくれる」というイメージのある食物繊維。
しかし、一口に食物繊維といっても、水溶性と不溶性の2タイプがあり、それぞれ働きが違います。
今回は”六番目の栄養素”と言われるようになった食物繊維について書いていきます。
昔は不要なものだと考えられていた
今でさえ健康のために摂った方がいいとされ、国も摂取目標量を設定している食物繊維ですが、実は昔は人間にとって必要なものだとは考えられていませんでした。
それどころか、「しょせんは食べ物のカス。必要な栄養素さえも出してしまうもの」ということで、どちらかというと摂らない方がいいという捉え方がされていました。
しかし、1970年代にイギリスの研究者がアフリカ人を調査したところ、アフリカの人はヨーロッパの人に比べて大腸がんが極端に少ないことを突き止め、その理由が食物繊維の摂取量の差にあるのではないかと考えられるようになります。
この研究を皮切りに、食物繊維の研究が進められ、それまでの説が180度逆転するかたちで、食物繊維の有用性が認められるようになったのです。
今日では”第六の栄養素“とまで言われる確固たる地位を得るに至りました。
食物繊維には2タイプある
食物繊維には2つの種類があります。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、水に溶けるタイプの食物繊維で、ペクチン、グルコマンナン、イヌリンなど、いろんなものがあり、果物やコンニャク、昆布やワカメなどに多く含まれます。
水溶性食物繊維はその粘着性により、胃腸内をゆっくりと移動します。
これにより、満腹感が持続します。
さらに、糖質の吸収も緩やかになり、食後に急に血糖値が上がることを防いでくれます(参考:食後の血糖値上昇についてはこちら)。
コレステロールの排泄を促す効果も。
また、これは不溶性もそうですが、腸内細菌のエサになり、腸内環境を整えることに一役買ってくれます。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は水分を吸って膨らむという特徴があります。
腸の中で膨らむことにより、腸の壁を押して刺激を与えます。
腸はこの刺激が引き金となり、蠕動(ぜんどう)運動という、ミミズがうねるような運動を起こし、これによって排便が促されます。
よって、サプリメントなどで不溶性の食物繊維を補う時は水分も同時にしっかりと補給することが大事です。
バランス良く摂ろう
このように、同じ食物繊維でも、水溶性と不溶性とではそれぞれ働きが異なります。
どちらかに偏ることなく、バランス良く摂ることがポイントです。
前回の腸のケアのエントリでも書いたように、現代の食生活ではとにかく食物繊維が不足しており、食事だけで補うことがかなり困難です。
多くの日本人が望ましい量の半分以下しか摂取できていないと言っていいでしょう。
これを補うためにサプリメントは有効ですが、その際に気をつけて欲しいのは水溶性と不溶性のバランスです。
どちらかしか入っていないものもあるため、そのあたりは専門家の意見を聞いてみるのがいいと思います。
まとめ
不足しがちな食物繊維ですが、体にとってうれしい効果がたくさんあります。
健康も美容も、まずは腸から。
ぜひしっかりと摂るようにしましょう。