【保存版】これだけ覚えれば大丈夫!自宅でのカンタン天然出汁のとり方と料理への活用いろは
こんにちは。管理栄養士の圓尾(まるお)です。
(初めてのかたは、こちらからどうぞ)
皆さんは、普段家で料理する時に出汁をひいていますか?
現代では顆粒出汁で済ませている人も多いですが、
やはり天然の出汁には人口では出せない香りの良さと健康効果があります。
「でも出汁をひくのって面倒だし、手間がかかりそう…」
そんな声が聞こえてきそうですが、決してそんなことはありません。
僕は家に顆粒出汁は置いておらず、毎回出汁を引いて料理をしています。
それが出来ている理由は、手間いらずでカンタンにできる出汁の引き方を実践しているからです。
そこで今回は、自宅でも簡単に天然出汁が引けてしまうやり方と、料理への活用法をご紹介していきたいと思います。
これだけ覚えれば大丈夫!自宅でのカンタン天然出汁のとり方と料理への活用の基本
出汁の種類
まずは、いろいろな出汁の種類を見ていきましょう。
一、昆布出汁
北海道で獲れた昆布を使った出汁です。
昆布には、グルタミン酸というアミノ酸系のうまみ成分が含まれています。
昆布出汁は引くのに少し時間がかかるところが難点ですが、
前もって準備しておけば放っておくだけで出汁が引けるという利点も持っています。
二、鰹(かつお)出汁
世界一硬い食品と言われる鰹節を削った削り節で引いた出汁です。
ちなみに、世界一硬いのは枯節(かれぶし)と呼ばれる発酵させた鰹節で、全流通量の一割以下しか出回っていません。
主な生産地は鹿児島、静岡、高知。
鰹節のうま味は、イノシン酸という核酸系の成分です。
昆布のグルタミン酸と合わさるとうま味が七〜八倍にもなり、脅威のうまさを発揮してくれます。
三、いりこ(煮干し)出汁
主に鰯(いわし)を乾燥させたものを使って出汁を引きます。
うまみ成分は鰹節と同じイノシン酸ですが、鰹節に比べて魚の香りが前面に出てコクのある出汁が引けます。
四、干し椎茸の出汁
干し椎茸からも出汁が出ます。
きのこにはグアニル酸という核酸系のうまみ成分が含まれており、
椎茸を乾燥させることで、このうま味が凝縮されます。
グアニル酸は核酸系なので、昆布出汁のグルタミン酸(アミノ酸系)と組み合わせることでうま味が増します。
確かに、椎茸と昆布の佃煮は美味しいですよね。
五、貝類の出汁
アサリやハマグリ、シジミなどの貝類にはコハク酸といううまみ成分が入っています。
なので、これらのお吸い物や味噌汁を作る時は出汁を使わずとも美味しい一品が出来上がります。
それぞれの出汁の引き方
それでは、ここからはそれぞれの食材を使った出汁のカンタンな引き方を見ていきましょう。
出汁の引き方にはいろんな方法がありますし、あくまで家庭用のやり方ですので、これが絶対ではありません。
一、昆布出汁
昆布出汁の引き方は二種類あります。
それが、水出しと煮出しです。
昆布のうま味は六十〜八十℃でよく溶け出しますが、それより低温であっても少しずつ出ていきます。
水出し
一、昆布の表面を濡らして絞ったふきんで拭く(僕は面倒なのでやりません。軽く指で汚れを払う程度)。
二、水一リットルに対して昆布三十グラムぐらいを入れ、六〜八時間程度置き、昆布を取り出して完成。
煮出し
一、水出しと同じように昆布を拭く。
二、水一リットルに昆布二十グラムぐらい(煮出しの場合は出汁が出やすいので、水出しより少なめで良い)を入れ、一時間程度置く(僕は時間ない時は十五分ぐらい置いて火にかけちゃいます)。
三、弱火でじっくり加熱する。沸騰する前に昆布を出す。
二、鰹出汁
鰹節は百度近く一分で良く溶け出します。
なので、水ではなく、お湯で出汁を引くのです。
鰹節を使った出汁の引き方
一、鍋に湯を沸かす。
二、沸騰したら鰹節を適量入れる(計ったことないですが、目安は水一リットルに対して鰹節三十グラム程度らしい)。
三、一分待って火を止める。さらに一分程度待つ。
四、本来はここで鰹節をサラシで濾したりするのですが、面倒なので、目立つ鰹節だけ箸でつまんで取っています。
後の鰹節は栄養分として具材と一緒にいただいちゃいます。
三、合わせ出汁
合わせ出汁とは、昆布出汁と鰹出汁を合わせたものです。
うまみ成分の相乗効果で、びっくりするぐらい美味しい出汁が引けます。
やり方は一言でいうと、昆布出汁を引いたものを使って鰹出汁を引くような感じです。
合わせ出しの引き方
一、水出し、または煮出しで昆布出汁を引く。
二、沸騰させた一に鰹節を投入し、一〜二分煮る。
三、ちょこちょこっと鰹節を箸でつまみ出して完成。
四、いりこ出汁
いりこは水から入れて、煮出していきます。
煮干し粉といって、いりこを削ったものも売られています。
これだと、沸騰したお湯にさじですくって入れるだけでできるのでさらにお手軽。
いりこ出汁の引き方
一、いりこの頭とはらわたを手で外す。
二、水にいりこを入れて三十分ほど置き(時間のない時は十分ぐらいだけにしています)加熱する(だいたい水一リットルに対していりこ十尾程度)。
三、少し沸騰させたら完成。
各種出汁の料理への活用法
それでは次に、出汁をどう料理に使っていくかを見ていきましょう。
といっても、これは好みの問題もあるので、あくまで一意見としてとらえてくださいね。
うま味成分の特徴をおさえる
まず知っておきたいのが、うま味成分の掛け合わせ方です。
先ほどもお話しましたが、うま味成分にはいくつか種類があります。
そして、これらは「アミノ酸系」と「核酸系」に分かれます。
これを整理すると、次のようになります。
- 昆布出汁 = グルタミン酸 = アミノ酸系
- 鰹出汁 = イノシン酸 = 核酸系
- いりこ出汁 = イノシン酸 = 核酸系
この、アミノ酸系と核酸系を掛け合わせると、相乗効果といって、うま味が七〜八倍になります。
そして、これらのうま味は何も昆布や鰹節だけでなく、その他の食べものにも含まれています。
どんな食べものにどのうま味が含まれているのかは、ざっくり次のように覚えましょう。
動物性食材 = イノシン酸
植物性食材 = グルタミン酸
たとえば、味噌汁に使う出汁以外の食材を見ると、
味噌や豆腐、野菜や海藻など、すべて植物性、つまりグルタミン酸がうま味として多いことがわかります。
よって、味噌汁の出汁にはイノシン酸が多い鰹出汁やいりこ出汁が適していると言えます。
出汁にイノシン酸があると、味噌や具材に含まれているグルタミン酸と相乗効果を起こし、うま味が増すからです。
ですので、グルタミン酸同士の掛け合わせになってしまう昆布出汁だけで味噌汁を作ることはあまりやっていません。
煮物なども野菜を使うことが多いので、鰹出汁やいりこ出汁を気分で変えて使います。
逆に、肉じゃがのように動物性のうま味が入る場合は昆布出汁が適しています。
必ずしも出汁を使う必要はない
よく和食の煮物のレシピなどを見ると出汁が使われていますが、
別に無理して出汁を使わなくても料理はできます。
そもそも、家庭で出汁を引き始めたのは明治以降と言われており、
昭和に入る頃までは出汁は贅沢品でした。
確かに出汁を使って煮物を使うと美味しくできます。
でも、出汁じゃなくて水を使っても料理はできるんです。
それこそ味噌汁だって、具をたくさん入れたり、きのこやごぼうなどうま味や香りの良いものを入れれば、
出汁がなくったって、美味しい味噌汁ができます。
僕が普段の家での料理(それがしごはん)で出汁をどうしているかというと、
- 「よ〜し、今日はしっかり料理するぞ〜!」 ⇒ 合わせ出汁を引く
- 「昆布出汁取ってる時間ねえや」 ⇒ 鰹出汁かいりこ出汁
- 「ちょっともう今日はササッと作りたい」 ⇒ 出汁使わないで水を使う
みたいな感じで使い分けています。
正直、質の良くない顆粒出汁を使うぐらいなら、もう出汁じゃなくて水で料理した方が良いと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
コツさえ掴んで慣れれば、顆粒出汁と同じ手間で格段に美味しく健康的な天然出汁が引けます。
家庭料理なので、料理人のように細かいことにこだわる必要はありません。
試行錯誤して、自分なりの出汁の使い方を探求していきましょう。