お米を食べれば、脂っこいものはやめられる! 「γ-オリザノール」の効能とは
こんにちは。管理栄養士の圓尾(まるお)です。
(初めての方は、こちらからどうぞ)
ラーメンにカツ丼、ステーキにフライドポテト、ピザにドーナツ。
これらの食べものに共通するのは、脂分が多いことです。
こういった食事が良くないとは知りつつも、
どうしてもやめられない、食べたくなってしまう、なんてことありませんか?
実は、これら脂分の多い食べものには依存性があることがわかっており、
やめようと思っても、なかなかやめられなくなっています。
しかし、最新の研究で、脂分に対する依存性を打ち破る活路がお米にあることがわかってきました。
今回は、お米が持つ高脂肪食に対する効果についてご紹介します。
脂っこいものがやめられないという人は、お米を食べよう! 「γ-オリザノール」の効能とは
なぜ脂っこいものはやめられない?
脂っこいものを摂りすぎているとわかっているのに、やめられない。
これは、決して意志の弱さなどのせいではありません。
実は、脂分の多い高脂肪食には、薬物依存をも凌駕する、極めて強い依存性が確認されています。
ラットによる実験で、「高脂肪食」は法律で禁止されている麻薬である「ヘロイン」や「コカイン」よりも、
「摂取していくにつれて満足を感じにくくなる度合い」が強いことがわかりました(参考: Nat Nerosci 13: 529-531 2010)。
つまり、高脂肪食をとり続けると、以前の量では満足できなくなり、どんどん摂取量が増えていく傾向にあるのです。
さらに、「高脂肪食」は「ニコチン(タバコ)」「コカイン」「アルコール」に比べ、
断ってから日数が経っても、満足と感じる量が著しく多いこともわかっています(参考: 同上)。
これは、高脂肪食が他の依存性の強い物質に比べて脱却(やめる)のが困難であることを示しています。
一般的にやめるのが難しいと思われているタバコやドラッグよりも、高脂肪食は依存性が強いことが証明されたのです。
お米に含まれるγ-オリザノールが高脂肪食を脱却する救世主に
そんな恐ろしい高脂肪食ですが、お米に含まれる成分が驚くべき効果を発揮することが判明しました。
それは、お米の米ぬかや胚芽に含まれる「γ(ガンマ)-オリザノール」という成分です。
γ-オリザノールとは、自然の食品ではお米にしか含まれない特徴的な成分で、
米ぬかや胚芽を除いた白米には含まれていません。
精米される前の玄米や分搗き米には豊富に含まれています。
琉球大学の益崎裕章教授らが行ったマウスによる実験で、このγ-オリザノールを豊富に含んだ玄米の粉をエサに混ぜて与えたところ、
高脂肪食に対する嗜好性が和らぎ、肥満も抑えられたという結果が出ています。
γ-オリザノールは、食欲を制御している脳の視床下部に作用し、
脂肪への嗜好性を抑制する作用があることが発見されています(参考: Kozuka C, Masuzaki H et al. Diabetes 61: 3084-3093, 2012)。
つまり、しっかりお米を食べ続ければ、自然と脂っこいものを求めなくなることが期待できるということです。
白米では意味がない!玄米や分搗き米を選ぶのが肝心
ただし、白米を食べてもこの効果はまったく期待できません。
なぜなら、白米は精米の過程でγ-オリザノールを含んでいる米ぬかと胚芽部分をすべて除去してしまっているからです。
よって、この効果を得ようと思ったら、玄米か分搗き米にする必要があります。
外食で玄米のお店を見つけたら、迷わず玄米を選ぶようにしましょう。
また、家庭ではなかなか玄米を炊くのが難しいので、
僕は白米と同様に簡単に炊けて食べやすい、三分搗き米をオススメします。
さらに、米ぬかから作られた米ぬか油にもγ-オリザノールは含まれています。
ちなみに、今巷間で流行っている糖質制限なるものは、
炭水化物の摂取を減らすことで自然と脂質の摂取は増え、γ-オリザノールを含むお米の摂取も減るので、
続ければ続けるほど高脂肪食への依存性が増す恐れがあります。
まとめ
日本人は江戸時代の途中までは白米をほとんど食べていませんでしたし、
江戸時代になっても都市部以外は玄米(現代の玄米とは違いますが)を食していました。
日本の伝統食である和食は脂質の量が少ないことが特徴的ですが、
それはγ-オリザノールによって、自然と脂っこいものへの嗜好性が抑えられていた結果かもしれませんね。
(参考: 『「玄米」のエビデンス』渡邉昌監修 キラジェンヌ株式会社)