書評 「家庭でできる 食品添加物・農薬を落とす方法」 増尾清

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食への安全、健康への意識が高い人であれば、野菜や果物、お米に使われている農薬や加工食品に含まれる食品添加物のことが気になるという人も多いでしょう。

まず大事なのがそれらの害を知り、なるべく普段の食事の中でそのような不自然なものが体の中に入ってこないようにすることです。

しかし、そうは言っても毎回毎回、無添加のものや有機栽培・無農薬栽培の食材を手に入れるのも難しいこともあります。

それでもなるべく添加物や農薬をとりたくないという人に向けて書かれた、誰でもできる対策が紹介されているのが、こちらの一冊。

 

著者は元東京都消費者センター試験研究室長をされていた増尾氏。

彼は長年にわたり食品の安全に関する研究に携わり、御年90歳を迎えたまさに”生き証人”とも言える存在です。

それでは紹介していきましょう。

 

 

家庭でできる 食品添加物・農薬を落とす方法

身の回りに潜む食の不安の数々

私たちの食生活を取り巻いている不安は、山のように存在します。特に近年は、残留農薬や食品添加物、放射性物質汚染、輸入食材問題、偽装表示、異物混入など、毎日のようにニュースで取り上げられる話題はあとを絶ちません。

(本書 P.2)

引用文章内にもあるとおり、農薬、添加物、遺伝子組み換え、有害ミネラル、トランス脂肪酸など、僕たちの周りにはさまざまな”不自然な食べ物”が溢れており、それらの害について警鐘を鳴らす学者や書籍はたくさん存在します。

それらをなるべく排除するために、食品の表示を確認するクセをつけるのは有効な方法です。

この本では、野菜・果物・肉類・魚介類・加工食品のそれぞれの安全な食品の選び方が細かく紹介されています。

たとえば、野菜は旬のものは生育も早く、露地栽培が多いため、農薬の使用量は必然的に少なくなります。

 

また、本書で指摘されているのが食品の表示の信頼性の問題です。

特に最近は誰でも名前の知っている大手メーカーや老舗の食品会社が産地の偽装や賞味期限の改ざんなど、不祥事が跡を絶ちません。

まさに、食品会社のモラルは地に落ちたといっても過言ではありません。

その中で僕たちはただ表示を鵜呑みにするのではなく、信頼できる会社、お店、生産者を見極める必要があるのです。

 

おばあちゃんの下ごしらえで除毒ができる

昔から、おばあちゃんの食材の下ごしらえの基本には、「水洗い」「ゆでる」「刻む」「皮をむく」などがありました。その方法が有害物質、とくに残留農薬の除去に効果があると分かったのです。

(本書 P.82)

 

料理には、昔から受け継がれてきた”下ごしらえ”があります。

実はそれらを改めて分析してみると、非常に理にかなったものがたくさんあるのです。

 

たとえば、水にさらしたり茹でるなどしてアクを抜くということをしますが、これによって残留農薬や硝酸塩、ダイオキシンも減らすことができます

 

ほうれん草やトマト、イチゴなど、特に残留農薬が心配なものへの対策や、逆にそれほど農薬の心配がない野菜も紹介されています。

すべての食材を手間をかけて下ごしらえして除毒するのは難しくても、どういった野菜や果物に農薬が多く使われていて、どんな対策をすればいいのかを知っておくだけでも体に中に入る農薬の量をグッと抑えることができます。

 

テストで分かった 下ごしらえの除毒効果

そこで昔ながらの「水洗い」「ゆでる」「刻む」「皮をむく」など、「おばあちゃんの知恵の下ごしらえ」に除毒の効果があるのではと思い始め、実際に、除毒効果があるかどうか、簡易テストを繰り返してみました。

(本書 P.176)

 

この本のスゴいところは、筆者が水洗いやゆでるなどの下ごしらえをすることで実際に残留農薬や添加物がどれだけ減らせたのかを分析により明らかにしていることです。

 

たとえば、ソーセージを熱湯の中で1分間湯ぶりすることで保存料のソルビン酸や発色剤の亜硝酸塩がどれぐらい減ったのかを実験で確かめています。

他にも、ぬか味噌中に保存料のソルビン酸を入れ、漬けたダイコンに成分が移行するか、などの実験を行っています。

実際の数値による実験結果を見ることで、より除毒効果のメリットがハッキリとわかります。

 

まとめ

食の安全に気をつけるのは、とても大切なことです。しかし、知れば知るほど、一度気になりだすと「気になりすぎてしまう人」が多いことも事実です。

(本書 P.236)

 

本当に知れば知るほど、いかに僕たちの周りには健康に対してマイナスに働く”不自然な食べ物”が多いかということを思い知ります。

その事実を知った時に、筆者が指摘するように「気になりすぎてしまう人」になってしまわないことが大切です。

 

先日のエントリでも書いたように、「体に悪いものをとっている」と思いながら食べると余計に体に悪いように作用すると思います。

 

増尾氏は「70点を目指しましょう」と主張しています。

僕も同意で、食の安全について知ること、なるべく安全な選択をすることは大事ですが、完璧を目指した瞬間におかしくなってしまいます。

 

僕は本書の内容に付け加えて、究極の除毒、デトックスの手段としてファスティングを提案します。

自分で自分の体を守る術を心得ておくことが、何よりの健康への近道だと思います。

 

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