「ハレ」と「ケ」という観点から食事のバランスを考えてみる
こんにちは。
管理栄養士の圓尾(まるお)です。
食事はバランスだと、よく言われます。
バランスの取れた食生活を送っていると
肥満や生活習慣病などとは無縁になる。
本当にそのとおりだと思います。
ただ、問題はその”バランス”をどうとるかです。
今回は、“ハレ”と”ケ”という観点から
このバランスについて考えてみたいと思います。
「ハレ」と「ケ」という観点から食事のバランスを考えてみる
「ハレ」と「ケ」
「ハレ」と「ケ」という考え方が
古くから日本にはありました。
「ハレ」というのはお祭りやお正月
めでたい、非日常のことです。
いまでも「晴れ着」や「晴れ姿」などの言葉が残っていますよね。
一方、「ケ」とは普段どおりの日常のこと。
この「ハレ」と「ケ」というメリハリのつけかたが
食生活にも活用できるのです。
「ハレ」の食べ物とは
日本人にとって「ハレ」の食事とは何か。
まず、洋食全般は「ハレ」に当たります。
ハンバーグやカレー、
パスタにステーキ。
これらはいまでさえ日常の食事になっていますが、
本来は非日常の食事です。
なぜなら、日本の長い歴史において
このような食材や調理法は
ごく最近になって出てきたものだからです。
他にも、肉や乳製品、
揚げ物などの油を多く使った料理、
砂糖を多く使ったお菓子やパンも
「ハレ」の食べ物です。
こういった食べ物の食費量が増え、日常食になったのは
わずかここ数十年のことです。
日本の伝統食をそのままトレースしろというわけではありませんが、
その変化はどう見ても急激すぎると思います。
これら「ハレ」の食べ物が「ケ」になってしまうと問題です。
「ケ」の食べ物とは
一方、私たちにとって「ケ」の食べ物とは、
いわゆる伝統食です。
その代表が何と言ってもお米です。
これが一番の基本。
食卓にお米があるかパンがあるかによって
おかずの「ハレ」具合、「ケ」具合にも影響します。
そしてたんぱく源は大豆か魚。
日本人を支えてきたのは、植物性のたんぱく質です。
さらには発酵食品。
漬け物、醤油、味噌、納豆などなど。
これらも日常である「ケ」には欠かせないものです。
食材に関しても野菜だけでなく、
海藻やきのこなども特徴です。
一日または一週間の中で「ハレ」と「ケ」を考える
さて、なんとなく「ハレ」と「ケ」の食べ物について
理解できましたでしょうか。
中にはハッキリと分けるのが難しい食べ物もあるかもしれませんが、
そのあたりはざっくりとで結構です。
今度はこの「ハレ」と「ケ」を
一日の中、または一週間の中で考えてみます。
たとえば一日の中で考えてみたとき、
夜に友人との外食が入っているとしましょう。
外食、特にお酒の席などはほぼ例外なく「ハレ」の食事です。
それがあることがわかっている場合は、
昼食や翌日の食事を「ケ」にすることで調整します。
「ハレ」の食事の前後まで「ハレ」の食事が続くと
身体は疲れてしまいます。
「ハレ」は楽しみのための食事。
「ケ」は身体のための食事。
「ハレ」の食事は心の栄養にはなるかもしれませんが、
身体にとってはマイナスなこともあります。
逆に「ケ」の食事は
心にとっても身体にとっても栄養になります。
「ハレ」の食事がいけないわけではありません。
「ハレ」の食事が続くことが問題なのです。
ぜひ、ここ一週間の食事を振り返ってみて、
「ハレ」と「ケ」のバランスを見てみてください。
「ハレ」が半分以上を占めていたら要注意です。
まずは「ケ」の料理を覚えよう
これは料理に関しても同じです。
いろんな料理教室に人が集まり、
レシピ本やレシピサイトを多くの人が読んでいます。
しかし、そこにはいかに「ハレ」の食事の多いこと。
たしかに、「ハレ」の食事は見た目も華やかで
人目を引くものが多いです。
でも、せっかく料理を学ぶのであれば、
まずは「ケ」の食事ができるようになってから
「ハレ」の料理を習得したほうが良いと思っています。
「炒め物はできるけど、煮物は作れない」
「パスタソースは作れるけど、出汁は引けない」
「外国の調味料はたくさん持ってるけど、
日本の調味料の使い方は詳しくない」
そんな人も多いのではないでしょうか。
もっともっと、
この国の伝統食をまず作れる人が増えたらなあと思います。
(というわけで、来月からそういう料理教室をやろうと計画中です)
まとめ
ちなみに、僕も「ハレ」の食べ物は大好きです。
でも、今回お伝えしたように
「ハレ」と「ケ」のバランスは崩れないように
いつも気をつけています。
思うのですが、
「ハレ」は「ケ」があるからこそ楽しさも増します。
いつも働いていて、たまに旅行に行くから楽しい。
これが仕事しなくて良くて、
ずっと旅行していたら楽しいでしょうか。
「ケ」は「ハレ」を楽しむためのものでもあったりします。
まずは「ケ」の生活を丁寧に、送っていきませんか。