毎日和食を食べる僕が「ササニシキ」を選ぶ理由 “幻のお米”の魅力を紹介
こんにちは。管理栄養士の圓尾(まるお)です。
(はじめてのかたは、こちらからどうぞ)
突然ですが皆さん、お米食べてますか?
そして、お気に入りの銘柄はありますか?
僕は大のササニシキ好きです。
毎回お米を注文する時はササニシキ(本当は古代米の朝日が食べたいのですが、なかなかないので)を選んでいます。
「ササニシキなんて聞いたことないよ」という人もいるかもしれませんが、
かつてはコシヒカリと並んで、二代横綱として君臨していた品種です。
今回はそんなササニシキの魅力を紐解いていきたいと思います。
幻のお米「ササニシキ」を食べよう!その知られざる魅力を語ります
かつては大量に作られたいたが、今では幻のお米に…
先ほどもお話しましたが、ササニシキはかつては盛んに作られていた品種です。
作付け面積も、コシヒカリに次ぐ第二位だった時期もあります。
しかし、風雨に弱く、病気にもかかりやすいという特徴を持っており、育てるのが難しい品種でもありました。
そして平成五年の大冷害において壊滅的な被害を受けたのをきっかけに、農家さんがもっと簡単に栽培できる品種に鞍替えしてしまったのです。
その結果、最盛期は二十万ヘクタールあった農地も三千ヘクタールにまで激減してしまいました。
今ではこだわって仕入れているお米屋さんか、ネット通販ぐらいでしか手に入らないようになっている、
まさに”幻のお米“と呼ばれるようになっています。
ササニシキのここが好き!
飽きがこないあっさり感
ここ最近は「甘くてもっちり」しているお米が大人気です。
コシヒカリもそうですし、
最近では「ゆめぴりか」「ミルキークイーン」などの、より甘々モチモチを追求して品種改良されたお米がウケています。
しかし、僕はこの流れに疑問を感じています。
昔のお米はみんなあっさり系でした。
ごはんは主食です。毎日、毎食食べるものです。
そのごはんの味が濃かったり甘味が強かったりするとくどくて飽きてしまいます。
また、お米の味が強すぎると、おかずの味と喧嘩してしまうでしょう。
では、なぜ日本人の嗜好が変わってしまったのか。
これは食の欧米化が影響していると思います。
かつてはほとんどなかった動物性の濃厚な旨味に慣れ、
味付け自体が濃くなったこととも相まって、強いおかずの味にも負けないお米の味が求められました。
この過程で日本人のお米に対する好みが変質してしまったのだと思います。
ササニシキは、モチモチ感は控えめで程よい硬さがあります。
そしてあっさりした旨味で、おかずを引き立てる上品な味わいが特徴的です。
ですので、毎日食べても飽きないし、
和食のおかずの繊細な風味を殺さず、むしろ引き出してくれる役割を果たしてくれるのです。
さらに、血糖値も上げにくい
ササニシキは美味しいだけでなく、健康効果も高いです。
それが、血糖値を上げにくい糖質であるということ。
お米のデンプンは「アミロース」と「アミロペクチン」という二つの種類によって構成されています。
このうち、アミロペクチンはもちもち感があり、たとえばもち米は100%アミロペクチンでできています。
通常、ごはんとして食べるうるち米は、アミロペクチンの割合が六十五〜八十五%.
お米の品種によってアミロペクチンの割合も変わります。
あっさり系のササニシキは、アミロペクチンが少なめ。
逆に、もちもち系のお米はこのアミロペクチンの割合が高くなっています。
そして、このアミロペクチンの割合が高いほど、血糖値は上がりやすく、
逆にアミロペクチンが少なくてアミロースが多いお米は血糖値を上げにくいことがわかっています。
つまり、毎日食べているお米をササニシキに変えるだけで、身体にも優しい食べ方が簡単にできてしまうのです。
お米アレルギーを起こしにくい
信じられないことですが、最近では子どもでお米アレルギーを持っている子がいるようです。
自国の主食を食べてアレルギーを起こすなんて、にわかには信じられないことです。
しかし、これも行き過ぎたお米の品種改良が原因になっていることがあるようです。
ササニシキはこのアレルギーを起こしにくいことでも知られています。
また、朝日などの古代米でもアレルギーは起きにくいことも報告されており、
甘くてもっちりを求めすぎるあまり、品種改良が行き過ぎ、不自然なお米に変わってしまっている可能性も考えられます。
まとめ
僕が恐ろしいなと思うのは、
日本人の嗜好がどんどん甘くてもっちりしたお米に変わっていっていることです。
そもそも、その変化を起こしている味覚の変化が怖いですし、
このまま嗜好の変化が進んでしまうと、ますますササニシキのようなお米は求められなくなり、食べられなくなります。
これまで日本人が食べてきたお米を食べるからこそ、和食のおかずの美味しさもわかります。
もっともっとササニシキのような昔の味わいのお米を求める人が増え、作付け面積も増えていくことを願うばかりです。