今の日本人が食べている玄米、実は不自然な食べものなんじゃないか説
こんにちは。管理栄養士の圓尾(まるお)です。
(初めての方は、こちらをご覧ください)
ビタミンB群やミネラル、食物繊維が豊富ということで人気のある玄米。
“本来、日本人はずっと玄米を食べていた。それが江戸時代に精米されて白米を食べるようになると、ビタミンB1不足による江戸患い(脚気)という病が流行った。やはり昔のように玄米を食べた方が良い”
そう主張される方もいらっしゃいます。
ですが、昔の人は本当に玄米を食べていたのでしょうか。
今回はこの説を、僕なりに検証してみたいと思います。
今の日本人が食べている玄米、実は不自然な食べものなんじゃないか説
籾(もみ)から玄米を得る方法が今と昔では違う
皆さんご存知の通り、稲から白米を得る過程は次の通りになります。
稲 ⇒ [脱穀] ⇒ 籾(もみ) ⇒ [籾摺(もみす)り] ⇒ 玄米 ⇒ [精米] ⇒ 白米
この流れで今回注目したいのが、「籾摺り」の過程、つまり籾から玄米を得る工程です。
籾というのは、玄米の周りについている籾殻(もみがら)を取り外す作業を指します。
栗から殻を外して、栗の実を取り出すような具合ですね。
昔はこの過程を、籾を石臼に入れ、杵(きね)でガシガシ搗いてやっていました。
次に時代が下って江戸時代になると、土臼(どうす)という器具を使うようになります。
(参考: 木臼式籾摺りの様子)
これは上臼と下臼の摩擦で籾殻を外すというもので、少々荒っぽいやり方です。
その衝撃から砕け米といって、米粒が砕けてしまうものも多く発生していました。
(もっとも、当時はもったいないので砕けたお米も食べていたようですが)
それが今では全自動化、機械化され、昔に比べるとはるかに高品質の玄米が作られるようになったのです。
昔の玄米と今の玄米の違い
僕はこのことをある本で読んだのですが(残念ながらどの本だったのかは忘れてしまいました……)、
昔の玄米は先ほど紹介したような、砕け米が出るくらいの多少荒っぽい方法で籾摺りをしていたため、
玄米になった時点で、すでに今で言う一分搗き米のようになっていたというのです。
「ええ〜!!うそ〜〜〜ん?!」
まさに目からウロコ、というぐらいのパラダイム・シフトが自分の中で起きました。
昔の籾摺りの技術は、先ほど紹介したように、米粒が砕けてしまうぐらい荒かったため、勝手に糠層も削れて一分搗き米の状態になっていた。
現代の籾摺り器はどんどん高性能化が進み、完璧な高品質の玄米ができるようになった。
しかし、逆に言うとこれは完璧すぎる、昔の日本人が食べていた玄米から比べると”不自然な”玄米になっているという見方もできるわけです。
果たして玄米は健康に良いのか
いつも議論になる、玄米は健康に良いのかどうかという議論があります。
玄米は栄養素は豊富だが、ミネラルの吸収を妨げるから良くないのでは?という説です。
果たして真偽のほどはいかに……という感じなのですが、僕はこの籾摺りの歴史を考えると、やはり無理に玄米を食べなくても良いのではないかと考えています。
僕は、以前の記事でも紹介しましたが、三分搗き米が食べやすさや炊飯のしやすさの面から言ってもおすすめしています。
玄米派の方は、より玄米に近い一分搗き米などを利用するのも良いかもしれません。
精製塩や白砂糖よりも粗塩や黒砂糖の方が健康には良いように、技術革新というのは考えものですね。
そのうち、土臼などで籾摺りした昔ながらの玄米に商品価値が出てくるようになるかもしれません。
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