糖質制限をしなくても、ファスティングによってケトン体が増える
こんにちは。管理栄養士の圓尾です。
ケトン体とは、アセトン、アセト酢酸、βヒドロキシ酪酸の総称で、体内の脂肪から作られる物質です。
このケトン体は、体内のエネルギー源であるグリコーゲンが枯渇した時に、グリコーゲンに代わってエネルギー源となるもので、ファスティングをした場合もこのケトン体が作られます。
そしてケトン体はただグリコーゲンの代わりとなるだけでなく、さまざまな作用があることがわかってきました。
今回はこのケトン体について解説していきます。
ファスティングでケトン体が増える
ケトン体が作られるまで
ファスティングをするとまず、それまで食事でとった糖質がエネルギー源として使われます。
これは大体5〜6時間で使い切られ、次は肝臓や筋肉に溜め込まれているグリコーゲンが消費されます。しかし、これも最初から数えて13時間ほどでなくなってしまいます。
さらに完全な絶食が続くと筋肉が分解されてアミノ酸になり、そのアミノ酸から糖が作られ、エネルギーとして使われます(ファスティングではいかにこの筋肉減少を抑えるかがポイントになります)。
そして脂肪の分解が始まり、ケトン体が作られるのです。
作られたケトン体は水溶性のため、脳に送られ、グリコーゲンの代わりに脳のエネルギー源として働きます。
ケトン体は長寿遺伝子を活性化させる
サーチュイン遺伝子と呼ばれる酵素が活性化すると細胞の若返りが起こることから、別名長寿遺伝子とも呼ばれています。
ケトン体とこの長寿遺伝子は互いに関係していることがわかっており、ケトン体が増えることによって長寿遺伝子も活性化されます。
これがファスティングをすることでアンチエイジング効果が期待できる理由です。
ケトン体は脳も変える
さらに、ケトン体は脳の神経細胞への影響があることもわかってきました。
欧米ではてんかんの治療にもケトン体が使われており、絶食によってケトン体を増やすことによって症状が改善することが認められています。
そして、ケトン体は脳波にも影響を与えます。
ケトン体が増加すると、α波という種類の脳波が増加します。
α波は、集中していたり心身がリラックスしている時に出る脳波なので、ファスティングをしてα波が出始めると脳が冴えていることを実感することができます。
まとめ
今流行りの糖質制限をしてもケトン体は出るのですが、ファスティングによっても同じ効果が期待できます。
ケトン体が産生され、利用される回路がよく使われるようになると、体がよりケトン体を産生しやすい体質になることも言われているので、ファスティングを続けてケトン体が出やすい体を手に入れることで、普段からアンチエイジングができたり、脳を良い状態にキープすることも可能となります。
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